季節の風景: 迎春
新年を迎え、天地の間に漂う荘厳な気配を“淑気”という
のだと教えられた。この“淑気”の中で、今年こそはと
発心すれば、願いに近づけるのかも知れないが、新春、
初春、迎春という文字の似合う期間は毎年あっという間
に過ぎてしまう。そして、いつかその“気”も消えている。
“淑気”が満ちている感覚を大事にしたいと思いつつ寺の
境内を歩いていると、穏やかな冬の陽射しを浴びて池の上
を進む水鳥たちの羽音が爽やかに聞こえてきた。
( 写真・文 大谷恭子)
淑気かな鳥の群れゐる神の池 塩田京子